明治大学農学部 環境分析化学研究室 HP
准教授 安保充
本研究室では、化学物質を通して、生物(主に植物)およびそれを取り巻く環境を分析することを目的に研究を行っており、最終的には、目的に応じた分析手法・前処理法を開発し、農業・農学分野に提供することを目指しています。
植物は環境から栄養素の欠乏, 過剰, 重金属, 乾燥, 塩, 酸, アルカリ, 低温, 光, 機械的刺激など多様なストレスを受けており、従来、 農業現場における植物の状態把握には生産者の経験に依存するところが多く、 客観的な指標で植物の状態を“分析・数値化”する手段は限られていました。
そこで私たちの研究室では、その指標として根からの滲出物に着目し、活性酸素種(ROS)やそれに由来するラジカル種、 さらに滲出する代謝産物を分析することにより、植物の状態をモニターできないか検討を行っています。また、その他、微生物資材の作用機作の解明や、 微細液滴を利用した葉面散布手法の開発など、 フィールドにつながる分析化学的研究を展開しています。
また、明治大学フィールド先端農学研究室との共同研究において染料植物灰の分析なども行っています。
植物・環境を“測る”
私たちの研究室では、様々な分析手法を農学分野に応用することを念頭に以下の研究を行っています。
① 根滲出物(ROSや代謝産物を含む)のモニタリングやイメージング、
およびストレス条件下での滲出量変化の測定
② 化学肥料にかわる微生物資材の作用機序の研究
③ 微細液滴を発生するメッシュ型ネブライザーの農業利用に関する研究
④ 携帯型検出器を利用した分析手法の開発
⑤ 草木染め染料植物の媒染液の分析
①根滲出ROSのモニタリング分析
(稲葉ら、日本分析化学会2024年会)
(友田ら、土壌肥料学会2024年会)
根滲出物のマルチプルイメージング
(村木ら、CSJ化学フェスタ2024)
②微生物資材の作用機序の解明
(田宮ら、日本土壌肥料学会2023年会)
③微細液滴を発生するメッシュ型ネブライザーの農業利用に関する研究
(遠藤ら、CSJ化学フェスタ2024)
④携帯型検出器を利用した分析手法の開発
⑤草木染め染料植物由来の媒染液の分析(フィールド先端農学研究室との共同研究)
(末光ら、CSJ化学フェスタ2024)